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ド、ド、ド、ド、ドと地面を叩く雨音だけが耳に届き、永遠と続くドラムロールを聞かされているみたいだ。
単調なリズムのせいで、頭がぼうっと朦朧としてくる。
八幡さまに逃げ込んでから、いったいどれくらいの時間が経ったんだろう。
どうしよう、―― このまま夜になっちゃったら………。
佳奈子さんから返信はないし。
もしかして気付いていないのかな、ともう一度携帯を取り出し液晶に手をかけようとした瞬間。
黒い空に激しい閃光が迸った。
「ひゃああっ!!!」
慌ててその場にしゃがみ込み、両手で押さえ込む様にして耳を塞ぐ。
バンッ、―――!!!
今までで一番大きな雷鳴が
バリ、バリ、バリ、――――!!
空気を切り裂くかのようにその場に轟いた。
「もう、嫌だ……」
縮み上がったままどうすることも出来ずにいた私を嘲笑うかの如く、一呼吸置いてまた鳴り響いく轟音。
ゴロゴロゴロとそれは余韻を残しながらも、雷光は雨にかき消されていく。
「……くっ」
激しさが衰えることもなく降りしきる雨に、茫然としたまま私は項垂れるしか出来ずにいた。
そんな時、だった。
えっ、―――??
拝殿の奥、ここからは反対側。
視線の先に、何かが、動いているのが、見えたんだ。
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