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いつかのあれはやはり、幻ではなかった。
病室の中に立っていたそれが、こちらを見て嗤った。
「なんで今、僕を見て怯えたんですか?
サトコサン」
ベッドサイドに立つ彼は私の名を知っているようだった。
「戸を閉めてください」
と命令する。
「僕が何者かわかるのなら、何をしに来たのかもわかりますよね」
服部由佳とはまた違う整った少年らしい顔で微笑み、彼は言った。
「貴方は僕と同じことを考えているんでしょう?
だから、見逃してくださいよ」
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