第四章 朝

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   いつかのあれはやはり、幻ではなかった。  病室の中に立っていたそれが、こちらを見て嗤った。 「なんで今、僕を見て怯えたんですか?  サトコサン」  ベッドサイドに立つ彼は私の名を知っているようだった。 「戸を閉めてください」 と命令する。 「僕が何者かわかるのなら、何をしに来たのかもわかりますよね」  服部由佳とはまた違う整った少年らしい顔で微笑み、彼は言った。 「貴方は僕と同じことを考えているんでしょう?  だから、見逃してくださいよ」
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