第一章 日常

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     大欠伸をしながら、鏡を覗いた。  朝日に眩しいそこには、今洗ったばかりの濡れた顔がある。  顔立ちにはあまり変化はいなが、全体的に色素が薄くなってきている気がするなあ。  己れの顔を眺めながら、そっと冷たい鏡面に手をやった。 「明路ーっ。  なにやってんのよ、あんた。  たまには早く行きなさいよっ」  はいはいはいはい、と学生時代から変わらぬ叱責を受けながら、タオルで顔を拭く。  もう一度、自分の顔を見た。
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