第四章 朝

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 なんだろう。  射すくめられたように動けない。  助けて、明路。  彼が何をしたわけでもない。  だが、動けなかった。  少年の手がベッドに向かって伸びる。 「や……やめて、その人、貴方の親なんじゃないの!?」  思わず叫んだ言葉に、彼は振り向き、きょとんとしたあとで、笑い出す。  こちらを見、なんで? と訊いた。 「そうじゃなきゃ辻褄が合わないからよっ」 「何をどう考えても、その固い頭じゃ、辻褄、合わない気がするけど」  少し気安くなった口調で彼は言う。 「今日はなんだか興がそがれちゃったな。  また来るよ」  そう素敵な微笑みを見せて出て行ったが、ときめくわけもなく、座り込む。  しばらくぼうっとしていて、そして、ロッカーに向かい、走り出した。  明路に電話をかけるため。
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