第四章 朝

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   湊が戻ってきて、遅れて明路が本部に入ってきた。  明路は何やら用事で出てくると言い、湊は素知らぬ顔で、大倉たちと話していた。  みんな大人だから突っ込まないようだ。  俺は突っ込みたいぞ、佐々木明路、と出て行く彼女の後ろ姿を見て藤森は思っていた。  お前ら、なんかバレバレなんだよっ!  先程の明路の態度を見て、湊との間に何もないと思う大人は居ない。  物言いたげな顔で閉まった扉を見ていると、声がした。 「まあ、いろいろですよね」  屋敷だ。 「部長は愛妻家なんじゃなかったっけ?」 と苛ついて言うと、 「愛妻家だったんです、と言わなかったですか?  奥さんはもう―」 と言葉を切る。
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