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病院の廊下を急いでいた明路は、目的の部屋へ辿り着く前に、誰かに腕を捕まれた。
そのまま、人気のない階段に引きずり込まれる。
振り返らないまま、
「行人……っ!」
と叫ぶと、彼は、
「あれ?
『服部くん』って呼んでよ。
君の大事な服部くん、みたいだろ」
と嗤う。
行人は絞めかねない勢いで、後ろから首にその細い腕を回してくる。
「あのオネーサンにああいう風に言っておけば、すぐ来ると思ったんだ」
無邪気にさえ見えるその顔を見上げて言った。
「……何をしに此処に来たの」
「決まってるじゃない」
行人のその言葉に、
「昌生さんは殺させない」
と言うと、彼は楽しそうに笑っていた。
「本当に愉快な人だね、貴女は」
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