第四章 朝

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「あんな抜け殻、殺したって何?  もう二度と、湊昌生は甦らないよ。  貴女だって、もうわかってるはずだ」  明路は行人を見つめたまま、その腕を強く掴んだ。 「昌生はもう居ない方がいいだろ。  あんたたちにとっても。  いや、僕がやらなくても、いつかやるさ、あの男が」 「あの男って?」 「本当に何もわかってないんだね。  そんなところも可愛いと思うけど」 と行人は髪に唇を寄せてくる。  その手を離そうともがいたとき、上から声がした。 「此処に重病人が居るんだけど。  そこの幾ら呑んでも酔わない健康体な人間を抱っこしてないで、僕を抱いて、病室まで連れてってくれないかな」  真剣に話しているのだろうが、いつも些か間の抜けた感じのする口調。  見上げると、階段の上に、先輩が立っていた。  何故か、その足許には白い猫を従えている。 「な、なに、ウロウロしてるんですかっ」
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