1023人が本棚に入れています
本棚に追加
「明路。
僕の見舞いには来てくれないわけ?」
「後で行こうと思ってましたっ。
さっさとベッドに入って寝てくださいっ」
「大丈夫だよ。
僕が死ぬ未来は見えなかったんだろう?」
「あのときはですよ。
そのあとは知りません!」
「つれないこと言うねえ。
まだ約束の膝枕してもらってないから、寝られないよ」
してないし、そんな約束……とマイペースな眉村に頭を抱える。
まあ、猫に聞いて、助けに来てくれたのだろうが。
と、言うことは―
「もしかして、またよく見えるようになってます?」
「また死線を彷徨ったからかなあ。
この猫も見えるよ」
と言う。
いや、死線と言うほどではないぞ、今回は、と思ったが。
まあ、此処に来たせいもあるのかもしれない。
長く彼が寝ていた場所で、幽体離脱していた場所だから、霊が見えやすいのかもしれない。
今の昌生と同じように、彼はずっと此処で眠っていた。
最初のコメントを投稿しよう!