第四章 朝

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「病院に居るのに、見えると厄介なんだよね。  歩きづらいし。  寝ようと思うと、ベッドにおばあちゃんが先に寝てたりするし」 「じゃあ、そのおばあさまに添い寝していただいて寝てください」 「そうだよ。  帰って寝てろよ。  あんたなんか、いちいち殺さなくても、なんの障害にもならないから興味ないよ」  頭の上で行人がそう言い放つ。  ひいっ、と思った。  一見、温厚そうだが、眉村は最も怒らせてはいけない部類の人間だ。  もっとも行人とどちらが、と言われたら難しいところだが。  静かな狂気とでもいうか。  眉村は怖い。  いろんな意味で。
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