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とは言っても、よくわからない人だが。
「命拾いしたねえ」
と呑気に行人が言う。
誰が? どっちが?
と思った。
「明路っ」
そう叫んで、聡子が廊下から飛び込んでくる。
「うわ。
また来たよ、めんどくさいのが」
そう呟いた行人は聡子が苦手らしく、手を離した。
「じゃあね、明路さん」
「君、待ちなさいっ」
と叫んだ聡子の腕を明路は掴む。
よ、呼び止めないでください。
頼むから。
奴こそ、面倒臭い存在なのだから。
聡子はこちらを振り向き、
「なんなの、あれ」
と訊いてくる。
「と……友だち」
―に見えたら、びっくりだ。
もちろん、聡子は信じない。
「あれ、あのときのあの子よね。
今度こそ、真実を聞かせてもらうわ」
と言う聡子に、
「いや、あんた言っても信じてくれないじゃない」
と苦笑いして答えた。
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