第四章 朝

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 ……なのに、実際にやりそうな奴が来たら、ビビるんだな、と思いながら、尻尾をぱたり、ぱたりと揺らす。  そのとき、からりと戸が開いた。  行人が戻ってきたかと身構えたが、眉村だった。 「やあ」 とこちらに向かって言う。  見え過ぎるのも困ると言っていたくせに、フル活用だな。 「ウロウロしてると、死ぬぞ」 と言うと、 「もう何度も死んでるから」  そう言って、眉村は笑う。  傍に来て、丸椅子に腰を下ろした。  腕を組み、昌生の顔を見下ろしている。 「何か気になるのか。  行人のことか」  あれはなんだ? と眉村は訊いてきた。
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