4月 新しいこと

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ふうっと短いため息を吐いて、空になった紙コップをテーブルに置く。 これからが混雑する時間帯だ。 2人制のチェッカーならば今の私でも少しは役に立てる。 時計を確認して、まだ少し早いけれどもう戻ろうと席を立った、その時。 「……だっせ」 聞こえた、背後からの、小さな呟き。 髪をユニフォームの帽子の中に押し込みながら通り過ぎていく男が、鼻で嗤ったのが聞こえた。 え、今。 嗤われたの、私? 反応も出来ずに見送ったその人影は、青果コーナーのアルバイトだ。 売り場ごとに違うユニフォームと、目立つ長身を丸めた背中で分かる。 仕事の後にたむろするメンバーの中に常にいるその人は、去年高校を中退したらしい、ひとつ年上の人。 未成年なのに当たり前のように慣れた仕草で煙草をふかす姿が、ちょっと苦手だ。 ……なんで私、あの人に馬鹿にされなきゃいけないの!? 紙コップを握りつぶして腹立ちに任せゴミ箱に叩きつけたけど、全く気は治まらなかった。
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