7月 やまない雨はない、とか

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責めるみたいな口調で捲し立てて――、自分勝手で良いのだと、この人は言う。 混乱する。 応援してくれているようには、とても見えないし、聞こえないのに。 分かりづらすぎて、追いつけない。 「聞いてんのか。全部さっきも言ったぞ。3回目はないからな」 静かにそう言い渡されて、少しだけ冷静になる。 ゆっくりと記憶を辿れば、ころころと変わる分かりづらい彼の言い分や状況に振り回されて理解が追いついてなかっただけで、確かに駐輪場で同じようなことを言われていた。 外は雨なのに運転席の窓を全開にして、ユウくんは煙草に火を点ける。 それは、『話はもう終わったから帰れ』という合図のようだった。 「惨めまでは……さっきは言ってないもん」 小さな反抗心が、私にそう言わせた。 でも認めたくないけれど、ユウくんの言葉は私の心を軽くしていたんだ。 彼は一瞬だけ、ちらっとこっちを見た。 すぐに窓の外に向き直り、煙草の煙を吐き出す。 絡んだ視線が離れる瞬間、一瞬だけ笑ったような気がした。 それが何の笑いなのかは、やっぱり理解出来ないけれど。 「帰れ」 「……うん」 ドアを開ける。傘を差す。車から降り立つ。 ドアを閉める前にお礼を言わなきゃと、振り返って少し屈んだ。 「あんた、もう今日みたいに」 「――え?」 「誰もいない時に待ってんなよ。アイツが知ったらやな気になんだろ」 返す言葉を考える暇もなく、ドアは内側から閉じられた。 間髪入れずに動き出した車は、さっきまで乗っていた時とは打って変わって攻撃的に、タイヤをキュルキュル鳴らしながら角を曲がって消えていった。
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