4月 新しいこと

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「すみません、いつまでたっても役立たずで」 「そんなことないよ。チェッカーはもう慣れたもんね」 バックヤードに戻されて、従業員用の休憩室に座らされる。 しゅんとお詫びを入れる私に、三橋さんはティーサーバーから落としたお茶を出してくれた。 チェッカーとは商品スキャンの係で、レジに2人制で入る場合は金銭授受をもう1人のキャッシャーが行う。 本当は1人で両方こなせないといけないのに、私はまだ片方しか許されていない。 「2人制ならキャッシャーも問題なく出来てるのに。商品券処理とか、普通もっと覚えるのに時間かかるのよ」 あはは、と乾いた笑いで誤魔化した。 そう、チェッカーでもキャッシャーでも出来るしバックヤードで練習する限りは1人制も問題ない。 なのに、何故客前に出ると詰まるんだろう。 「もしかして、あがり症?」 ――ぎくり。 お茶に伸びた手が止まったのを見て、三橋さんがぷっと吹き出した。 「ま、新田さんが来てくれる夕方の時間帯は混むから、どうせほとんど2人制だしね」 ぽん、と肩をひと叩き、10分休憩したら3番レジのチェッカーに入るようにと言い残して、三橋さんはフロアに戻っていった。
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