学業は“眠い”に始まり“眠い”に終わる

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メイコウ「ふわぁぁ……眠ィ。」 今日もまた憂鬱な時間がやって来た。 メイコウ「なんで中卒じゃダメなんだよ……別にいいじゃんか。義務教育ってなんなんだよ。」 義務教育が中学校までなのに、中卒では就職することが儘ならないことについて、ぼやきながら教室の扉へ手をかけた。 ???「おはよう!メイコウ君!」 教室の扉を開けるとすぐに聞きなれた可愛らしい声が飛んできた。 やべー、超眼ェ覚めた。 笑いながら手を振ってくれている女子のは、 “ナラサト ホナミ”。俺の幼馴染み。 俺の(現在進行形)初恋の人。 優しい、とにかく優しい。 笑顔なんて国宝級の可愛さだ。 メイコウ「お早う。」 軽く手を上げながら近付き、隣にいる親友に極めて自然に技を決める。 ???「……っ!痛ェ!止めろメイコウ!」 何かほざいてんのが俺の親友。 名前なんだっけ?えーっと、“ゴトウ ナントカ”。 文武両道そのもので、それなりの順位の俺を凌駕する頭脳を持ちながら、運動神経にも恵まれ、俺の所属する剣道部の主将である。 なんなんだよ、メイコウ改かよ。 そして、ナラサトの彼氏。……くそっ羨ましい。 末長く爆発しやがれ。 ホナミ「やっちゃえやっちゃえ!」 微笑むナラサトを横目で愛でながら、ヨシヒラの……あぁ、ヨシヒラだ。ヨシヒラ。“ゴトウ ヨシヒラ”。ヨシヒラの首を軽く絞めた。 ヨシヒラ「きゅう…。」 ヨシヒラが机に伏したと同時に先生が教室へと入る。 各々が自分の席に着く。 ヨシヒラ「無視かよ…。」 号令でかき消えるも不満そうな声を漏らしたヨシヒラの頬を、一筋の水滴が撫でたのを俺は見逃さなかった。
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