激動の王道革命

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♂―――…… 「王 道 じゃ な い!!!!!」 「ちょっと朝から何なのさぁ」 「変態変態」 始業式が終わってから2日、今日から通常授業が始まる。 そんな朝のHRが始まる直前、チャイムと共に叫びながら教室に入ってきた灯月に、窓際の列の一番後ろの自分の席でオセロをしている浅葱と多々良が迷惑そうに顔をしかめる。 そのくせ浅葱の口許はニヤニヤと笑みを浮かべていて、多々良の顔面はウサギの仮面で覆われているが。 ちなみに、転校生は始業式に来るはずだったらしいが都合がつかなくて今日になったらしい。 「おはようお2人さん。俺ァ王道を見にさっきまで学園内を走り回っていたわけだが聞いてくれ」 「やなこったパンナコッタ!!」 「今忙しいんだよねぇ」 2人はオセロに夢中なのか、灯月をスルーしてオセロの盤上を真剣な眼差しで見つめていた。 そんな2人に灯月は気分を害した様子など微塵もなく、浅葱の前の席の椅子に座って勝手に語りだす。 「それがさ、普通王道って言ったら校門前で副会長がキスじゃん?似非笑顔見た転校生が"その笑顔嘘くさい"とかなんとか言ってキスじゃん?なんで握手なんだよ!!しかも笑顔の事何にも触れてなかったしなんなの!?もういっぺん出直してこい!!」 「お前が出直せ」 「多々良ぁ、口悪いぞー」 興奮MAX状態で語りだした灯月に多々良が一言で返すと、パチリ、と浅葱が盤上に石を置きながら笑う。 それに多々良は無言で返し、すぐに盤上に石を置く。 その石で勝負が決まったらしい盤上は、ほとんどが黒で埋め尽くされていた。 どうやら負けたのは浅葱の方らしい。 「でー、何だって?転校生が王道じゃないって?」 浅葱はそんな盤上から自然に目を逸らし、いまだにペラペラと1人で喋っている灯月に話を振る。 「そう!!そうなんだよあさぎん!!」 「お前があさぎんって呼ぶなバカ灯月」 「そんなヤキモチ妬くなよ多々良」 「うるさい変態変態」 「ちょっとー、2人で楽しそうに喧嘩しないでよねぇ」 ケラケラ笑いながら言い合いをする灯月と多々良に疎外感を感じた浅葱は、オセロ盤を机の中にしまい込みながら口を挟んだ。 あんまり寂しそうに見えないのは、口許は先程と変わらずニヤニヤと弛んでいるせいだろう。
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