激動の王道革命

6/32
1716人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
それを2人は鬱陶しい目で見る……訳でもなく、今度はチェス盤を机からひき出してゲームを始める。 そんな中、教室の前の扉がガラッと開いて担任の先生が入ってくる。 サラサラストレートな黒髪の、少し童顔の神木─カミキ─先生がこのクラスの担任だ。 ホストじゃない……だと……、と灯月は最初嘆いていたものの、今じゃ神木先生ドS萌え、と言っていたりする。 その度に素晴らしい笑顔で毒を吐かれているが。 「みなさん、おはようございます。ちゃんと自分の席についてくださいね。朝のHRを始める前に、みなさんにお知らせがありますよ」 マイナスイオンが出てきそうな笑顔で朝の挨拶を済ますと、神木は廊下に顔を出して、入ってきていいですよ、と言う。 浅葱の3つ前の自分の席に座っている灯月は、ソワソワと落ち着かない様子だ。 そんな灯月を横目で見ている浅葱は白のポーンを動かしながら笑っている。 そして、神木の声で教室に入ってきた生徒に、クラスメートはため息をついたり興味を失ったように目を逸らした。 ワカメのようにクセのついた長めの黒髪に、黒縁メガネをかけた少し猫背な男。 顔が隠れてよく見えないため、地味な印象を受ける。 それを見た灯月からはキラキラとしたオーラが出ていて、浅葱は堪えきれずにプッ、と小さく吹き出した。 「今日からこのクラスに入る、転校生の柊くんです」 神木は黒板に転校生の名前であろう、柊 颯真─ヒイラギ ソウマ─と書いてから柊に自己紹介を促す。 「……柊、です。よろしくお願いします」 若干棒読みで言ったその短い挨拶に、神木は少し困ったように苦笑した。 それ以上は口を開かないと思ったのか、では、みなさん何か質問はありませんか?と教室の生徒に聞くが、誰も興味がないかのようにそっぽを向いている。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!