激動の王道革命

8/32
1718人が本棚に入れています
本棚に追加
/396ページ
まぁ、あそこまで言われたらしょうがない、と浅葱は転校生にする質問を変えることにした。 「じゃあ柊くん、身長何センチ?」 「……175」 「視力悪いのー?」 「……まぁ」 「なんでこの学校に転入してきたのー?」 「……寮があるから」 「浅葱くん、質問が多すぎます」 嬉々とした表情で質問を続ける浅葱に、神木はため息をついて浅葱を止める。 それに浅葱は口を尖らせながらもしぶしぶ椅子に座った。 それを見た神木は小さく微笑んで、後は休み時間にでも聞きなさい、と転校生の柊を席に促す。 柊はそれに軽く頷き、窓際の一番うしろにポツンと1つある机と椅子……浅葱の席のさらに後ろにあるその席に向かう。 灯月の話……王道だと、ここで通路に足を出され、それを転校生は踏むか避けるかするという事だったが。 「……あ」 柊は、何もないところで、躓いた。 クラスメートたちは誰も柊に興味がないようで、足を出している人は誰もいなかった。 「ぶっは!!大丈夫?柊くん」 「……大丈夫」 「起きてる起きてる?」 「…………まぁ」 盛大に吹き出しながら聞いた浅葱に柊はコクリと頷くと、ウサギの仮面を被った多々良に驚いたのか一瞬足を止める。 が、その多々良に首を傾げられながら話しかけられて、ぎこちなくもう一度コクリと頷いた。 「……なんで、仮面?」 その後は無事に席にたどり着いた柊は、よほど気になったのか多々良に顔を向ける。 多々良はそれに何も答えず、黒のポーンを盤上にコトリと置いた。 「多々良はねぇ、恥ずかしがりやさんなんだよー」 「……そうなのか」 それを見かねた浅葱は、多々良に代わってニヤニヤ笑いながら柊に理由を説明する。 柊はそれに納得して頷き、多々良が浅葱の足をガッと割と強めに蹴っていた事には気づいていなかった。
/396ページ

最初のコメントを投稿しよう!