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♂―――……
「チェックメイト」
「ちょっとお2人さん、もう昼なんだけど」
チェスとオセロを交互にやっていた浅葱と多々良は、灯月の声でやっと顔をあげた。
ちなみにオセロ4戦、今多々良のコールで終わったチェスが4戦目ですべて浅葱の負けだったりする。
授業なんかそっちのけでゲームをしている2人のこの光景はもはや日常風景で、注意する先生も諦めはじめていたりする。
「あらー、もうそんな時間?」
「腹へり腹へり」
「よし、食堂イベ行こうぜ」
「灯月奢ってくれるのありがとう」
「ごちごち」
「え、待って」
浅葱と多々良がいつも通りに灯月をいじって遊んでいると、後ろの席に柊がいない事に気付く。
「あれ?王道くんは?」
「王道王道」
「あぁ、それならほら、あそこ」
灯月が指差した方向を見てみると、そこにはあまり教室に来ない不良くんとクラスで人気者の位置にいる爽やかくんと一緒にいる柊の姿。
「おぉ、ファンタスチック」
「あさぎん発音悪すぎ悪すぎ」
「うるさいにょん」
浅葱の英語もどきにツッコミをいれた多々良にチョップをかますと、何があったのかを灯月に聞いた。
その話によると、浅葱と多々良がボードゲームに夢中になっていた2、3時間目の間の休み時間中にトイレに立ったであろう柊はそのまま3時間目をサボり、帰ってきた時にあの不良くんを引き連れていたという。
そしてつい先程、爽やかくんにお昼に誘われてあの不良くんも誘おうという事になっているらしい。
王道的には爽やかくんは席が近くてお友達に、というケースが多いが、柊の席の前は浅葱。
隣には席がなく、ななめ右前には多々良。
そしてななめ左前には生徒会ファンクラブの一員である生徒がいて、転校生に興味0の様子。
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