激動の王道革命

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菊沢はその声に急に大人しくなり、浅葱は吹き出しそうになるのを必死で堪えた。 「……で、何だっけ」 「あぁ、そうそう。あの子、小野村 灯月っていうんだけどね。あの子もお昼一緒していーい?」 そう、浅葱は灯月のいう王道のゆるふわ男子に、腐男子である小野村 灯月―オノムラ ヒヅキ―を選んだのだ。 まぁ、灯月から借りた小説やマンガには腐男子受けなるものもあったし、それもまた王道。と浅葱はニヤリ、と笑った。 そんな浅葱と多々良の思惑に、1人で妄想ワールドにお出かけしている灯月はいまだに気がついていない。 「……あぁ、あの声がでかいヤツ」 どうやら自己紹介の後にあった質問の時に、浅葱の言葉を遮った灯月の大声が印象に残っていたらしい。 それに吹き出しながら、浅葱はそうそう、と頷いた。 「……別に、俺はいいけど」 「え?あぁ、僕もいいよ」 「………………颯真がいいなら、いい」 頷く柊が永村と菊沢に顔を向けると、永村はその意味に気付いて頷き、菊沢は渋々といった感じにそう言った。 浅葱は内心、これがツンデレか。似合わないな、と菊沢を見て笑いながらも3人の返事にニヤァ……と笑った。 「そ、ありがとねぇ。じゃあ、後はよろしくー」 自分の思惑通りにいって満足な浅葱はヒラヒラと手を振って、いつの間にか真後ろにいた多々良を連れて教室を出た。 教室を出る直前に見た灯月は、いまだに脳みそがお出かけ状態だった。
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