激動の王道革命

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教室から出た浅葱と多々良は、食堂に向かう。 いつもはお金がもったいないからと購買やら学園内になぜかあるコンビニやスーパーに行って昼を済ます2人だが、王道に巻き込まれた灯月を見るために今日は食堂に行くことにしたのだ。 本当に欲望に忠実な2人である。 「あれでよかったかなぁ」 「王道王道?」 「うん、なかなかいい出来だと思わない?」 「完璧完璧」 「だよねぇ」 この2人は腐男子、という訳ではなく、灯月の影響で王道やらそういう類のものは知っているが、男同士のアレやソレに大した興味はない。 ただ、灯月の部屋に入った時にBL本を勝手に見て、本当にそんな事が起こるのか、に興味を持った、いうなればなんちゃって腐男子だ。 面白そうであれば何でも受け入れるタイプのこの2人は、同性愛に偏見など微塵もない。 ただ、自身が同性に恋愛感情を持ったことは一度もないのだが。 「さてさてぇ?どこら辺に座ろっか」 「あそこあそこ」 2人が食堂に入った途端、一瞬シン……、と食堂内が静まり返り、そこからさざ波のようにヒソヒソ声がひろがる。 それに2人は何の反応も見せずに、多々良の指差した入口から死角になった席に向かった。 「何にしよっかなぁ」 「ハバネロ麻婆餃子」 「よし、やっぱりモンブランシュガーイチゴパフェにしよう」 何とも相対的な料理……1人はもはやデザートを頼む2人。 お互いにお互いの料理名に嫌そうな顔をしてタッチパネルを操作する。 ちなみに、このタッチパネル式の食堂をはじめて見た灯月が、王道食堂ktkr!!と大喜びしていたのは浅葱と多々良の記憶に強烈に残っている。
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