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そんな灯月は、というと。
「よ~ぉ、お2人さん」
「うわぁーお」
「うわうわぁ」
料理を待っている2人の頭上に影が差して、聞き覚えのありすぎる声が降ってくる。
顔をあげると、そこには額に青筋をくっきり浮かべた灯月がいた。
その後ろには、不思議そうに首を傾げている柊、不機嫌そうな顔をした菊沢、困ったように笑う永村がいる。
「なんでここがわかっちゃったかなぁ」
「萎え萎え」
「ふん、腐男子をなめんな。入口から死角にある席は把握済みだわ」
「空気読みなよ灯月くん」
「変態変態」
「世界で一番空気の読めないお2人さんが何言ってんdおぅふ」
「おい」
3人で言い合っていると、不機嫌そうな表情を全面に出した菊沢がズイッと前に出てくる。
眉間にはとても深いシワが刻まれている。
「お前、こいつ昼に誘ったらスゲー驚いて困った顔してたぞ。どういう事だ」
「ぶっは!!」
何を言うのかと思えば、何こいつ。もしかしていいヤツ?と思った瞬間には堪え切れずに盛大に吹き出していた浅葱。
多々良も笑っているのか、菊沢から思いっきり逸らした体は小刻みに震えていた。
「何笑ってんだ」
「ま、待って……。とりあえず待って……」
菊沢の、ますます深くなった眉間のシワに、浅葱は小さく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
それを大人しく待っている菊沢に、また笑いがこみあげてきたのは内緒だ。
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