PROLOGUE

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  しばらく2人の間には無言が続いていたが、それはバンッ、ガンッ、という屋上の結構重い扉が思いきり開いて壁にぶち当たった音と共に響き渡った大きな声で終わりを迎えた。 「浅葱、多々良、ちょっ、俺の歌を聴k……違うか。ちょっと俺の話を聞けぇえ!!」 「あっちぃな」 「うるさいうるさい」 勢いよく屋上に入ってきたのは、明るい茶色の柔らかそうな髪をした男。 その顔は夏の太陽にも負けないくらいにキラキラと輝いていた。 そんな男に、日陰で寝転がっている2人……浅葱―アサギ―と多々良―タタラ―はピクリとも動かず、適当に返事を返す。 もはや返事と言っていいのかも微妙なところである。 「新学期に、転校生が来るんだって!!」 そんな2人に構うことなく、自分の言いたい事を言ってスッキリした様子のその男は、興奮を隠しきれずに少し鼻息が荒い。 「あっそ、まぁこれでアイス買ってきてよ灯月」 「よろしくよろしく」 「ちょっ、俺の話ちゃんと聞いてた!?」 浅葱は、目を輝かせている男、灯月―ヒヅキ―の言葉を軽く流し、その手に100円を握らせる。 それに便乗する感じで、多々良も灯月の手に100円を置いた。 そんな2人に、灯月は思わずその200円を握りしめて叫ぶ。 「はいはい、俺カリコリ君のイチゴメロン味ね」 「俺、七味ギョウザ味」 「お前の味覚は本当に壊滅的だね」 「てめぇよりマシだ」 「あ?今何つった」 「は?正論だが」 「あー、はいはい買ってくるから大人しく待ってろって」 灯月を完全スルーで口喧嘩を勃発させる2人に、灯月はため息をつきながらもアイスを買いに行った。
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