失恋ウェディング

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「何で同僚の結婚式の場で、後輩に馬鹿呼ばわりされなきゃなんないのよ」 「だからそれがバカ……」  再びの暴言に、左手出動。  だけど、相手の右手にあっさり阻まれた。手首を掴まれた挙句「ハイ、凶器没収」とバッグを取られる。 「やっぱり先輩、バカですよね」 「バカバカ言うな、馬鹿!」 「馬鹿な子ほど可愛いって言うけど……トシヤ先輩にはその可愛さ伝わらなかったんですね。ま、しょうがないか。外見的なモノじゃないし」 「ちょっと……何言ってんの……」  何やらおかしな事を言いだす遠野君に、私の胸は嫌な予感で一杯になった。伝わらなかった、という言葉が引っかかる。……いや、他にも引っかかる部分はあるんだけど。 「何も式から出なくてもいいのに。披露宴の二時間とその後の二次会……それだけじゃ飽き足らずに式まで、とか。どんだけ自分を追い込むんですか。先輩、ドМ?」 「……とーのくん」 「失恋の傷をここまでえぐる人、俺初めて見ましたよ」  
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