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「どうも」
軽く会釈したが、管理人はまだこっちをねっとり見ていた。
なーんか気持ち悪い張り付いた笑顔で気味が悪いってゆーか。
――もとから人をあまり信用してないから、つい疑ってしまう。
てか管理人にも俺を紹介済みなんだな。
真面目というか、気配りができるというか。
とりあえず、抱き締めたい。
はやく、兄さんに会いたい。
鍵を開けて靴を脱ぎ散らかしながら、奥の兄さんの部屋に向かう。
ドシドシと足に力を入れて歩いて、乱暴に部屋の扉を開けた。
「兄さん、ただいまっ」
薄暗い部屋からは返事がない。
無理させたからしょうがないけど。
電気を探り当ててつけると、ベットは乱れたままだが、兄さんが抜けだした形を浮き立たせていた。
――逃げられた。
そう思った瞬間、抱き締めたいと思っていた兄さんに裏切られたと怒りがこみ上げてきた。
また、捨てられた。
ガッ
壁を思いっきり殴り付けた時だった。
「――ひっ」
カタン
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