side 渉

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――ううっ とうとう下を向いて泣き出す始末。 「なんで泣くの? ほら立って。中綺麗にしてあげるから」 「お……痛い」 「ん?」 「お腹痛い……」 そうしくしく泣く兄さんがあまりにも可愛くて、可愛くて。 思わず抱き締めてしまった。 カタカタ震えているのは腹痛からなのかな。 「俺が遅くなっちゃったからだよね。早く綺麗にしなきゃ痛いよね」 「やっ 離しっ」 「――行くよ。お風呂場」 ビクッ 震える兄さんは、声も出ないぐらい怯えて黙ってしまった。 「大丈夫。洗ってあげる」 お姫様だっこして、額にキスしてあげた。 なのに、兄さんは泣き止まない。 軽くてびっくりしたけど、そう言えば今日は多分何も食べていないから、美味しい物を食べさせてやらないと。 「いやっ ヒリヒリす、るっ」 「仕方ないじゃん。慣らさなかったんだから」 シャワーを当てて、中を綺麗にしてあげたいのに、兄さんは足を頑なに閉じて開かない。
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