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「い、痛いっ」
「――静かにして、兄さん」
指で掻き出すと内側がビクビクと締め付けてきて可愛いんだけど、さ。
「可愛い声聞いたら、ムラムラしちゃうから静かにして」
「――っ」
そう言うと、兄さんは両手で口を抑えて、本当に静かになった。
涙目で、でもお湯や湯気で白い肌がほんのり赤く染まっていく。
可愛いって素直に思ったのに、兄さんは最後までポタポタと涙を流すのを止めなかった。
「兄さん、お利口だよね」
甘く甘くキスを落として、抱き締めたけれど、
兄さんは喋らないまま、俯いて涙を流し続けた。
そんな兄さんに服を着せて、またお姫様だっこでキッチンに向かうと椅子に座らせた。
冷蔵庫を開けると、お酒の摘まみみたいな野菜しかない。
冷凍庫には冷凍食品が綺麗にみっちり入ってるけど。
しょうがなく引き出しを開けていくと、かけるだけのパスタのソースとパスタを見つけた。
……パスタとサラダぐらいなら出来そうだ。
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