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適当にシャワーを浴びて、タオルを出して、
そのまま学校へ向かった。
女っ気がない男二人の家だったから、どうやらハハオヤと離婚した後は、再婚していないらしい。
顔は兄さんに似て、恐ろしく綺麗な父親だったが、不器用で女のセンス無かったもんな。
きっと借金のせいでがむしゃらに働いていたんだろう。
並べられたコップやタオル、
靴にソファに食器に靴。
全部きっちり二個ずつで。
まるで俺という存在を否定しているかのように感じて酷く不快だった。
でも今さら会いに来てくれた兄さんを、足腰が立たなくなるぐらい抱けたからいいや。
こんなもんじゃないけど。
兄さんに見捨てられた後、俺一人が受けた屈辱は、こんなもんじゃないけど。
寂しかった思いや、
一人で受けた過去や、
再会した後の距離。
全部、全部、兄さんにぶつけよう。
愛情は失わなかったんだから。
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