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「今日は、過去問から正解率が低いものを選んでプリントに纏めた物を配る」
県下一、二を争う進学校『月森』学園、高等部。
兄さんも父さんも通ったからと、俺も通いたくて目指していた高校だったけど。
俺は上位3位以内を条件に学費が免除になってる特別奨学生。
そうじゃなきゃ、ギャンブルで金を使い、男のところからほぼ帰らないハハオヤだけじゃ通えなかった。
高校の学費を父さんに頼むのは、まだプライドが赦されなかったし。
奨学生なのに、金髪もピアスも、ネクタイをしないでシャツをはだけても、注意する先生は居ないから楽。
ハハオヤが居なくても、近所のオバサンや、自称彼女たちが居たから生活はできていた。
――だから、今さら家族ごっこなんて要らないんだ。
「解答を配るぞ」
採点しながら、丸しかない解答用紙についつい笑ってしまう。
簡単なんだよ。壊すのは。壊れるのは。
――簡単には、修正できない。
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