side 渉

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「昨日、君のお兄さんが学校に来てくれてな」 兄さんが? 「君は御葬式だったから、代わりに色々と事情を説明してくれた。良かったな、あんなしっかりした家族がいて」 ――そのしっかりした家族は、俺とハハオヤから逃げたお陰で真っ当な人間に育ったんだってーの。 「で、大学に通う学費は全てお兄さんが手続きしてくれたぞ。奨学制度はもう受けなくて大丈夫だ。 ――頑張ったな」 「は?」 「大学。受かってたがこんな状況だからお前、辞退しようとしていたろ?  もう少し早くお兄さんに頼っていたら、第一希望の私立大も受けれていたのにな」 「…………」 なるほど。 進学校だから、少しでも有名大に進学させたいもんな。 通りで機嫌が良いわけだ。 「公欠届けやら学費手続きやら、本当にバタバタだったのに全て手続きをしてくれた。帰り際にお前を迎えに行くって言ってたが、昨日は久し振りにゆっきり話せたか」 「――ええ。とても」 先生たちにも見せてやりたかった。 泣きながらも反応して声を漏らす兄さんを。
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