side 渉

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細くて、白い肌は綺麗で、乱れる艶かしい身体。 ずっと好きだった。ずっと会いたかった。 ずっと泣かせたかった。 ずっと抱き締めたかった。 あんな綺麗な兄さんを組み敷けて、満足した。 「間宮デザイン事務所は、一昨年、博物館のデザインをしてから一気に有名になりましたからね。あれ、お兄さんのデザインらしいね」 「うちの卒業生なんだから鼻が高い」 ほのぼのと語り出す校長と担任たちが酷く目障りに感じた。 「あの、兄さんが待っているんで帰ります」 「ああ、そうだね。これ、入学後の学費やら色々書かれた書類、お兄さんに渡しておいて」 ずっしり重い紙袋を渡され、帰りに歩きながらパラパラと捲った。 何十万とかかる入学金。 払った後の銀行の領収書も入っていた。 何十万も払って弟に再会して、 そのままレイプされて監禁された兄さん。 俺のためにこんな風に手続きした事、後悔してるんじゃねーかな。
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