【Tow you,One me 2nd】

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自分の手を見てみると、何か小さい。 オリジナルは少し屈んで俺の視線に視線を合わせてくる。 「君は僕より強いのに、まだ11才なんだね。中原と同じくらいの背かな。もう少し小さいかもしれない。 母さんのお腹で亡くなった僕の弟」 オリジナルは俺の頭を子供にするように撫でてくる。 俺はその手を振り払う。 オリジナルの中では俺はそういう設定なんだろう。 俺はオリジナルじゃない。 俺は俺の姿を自分で決められない。 俺は自分の存在がなんなのかもわからない。 オリジナルが持てないつらさを受け持つだけの存在。 「……おまえが戻れ。二度とここにくるな。おまえはすべてを受け止めた。もう俺は必要ないだろう?」 「必要だよ。 あぁ、でも…どっちかは戻らないといけないみたいだ。君が今はまだ苦しいのなら、僕がいこうか」 「おまえの人生だろっ。俺には関係ねぇっ」 「君は僕で、僕は君だから。関係ないことはないんだよ。 君ならまたすぐに出てくるね。いってくる」 オリジナルはふっと俺の前から姿を消した。 昂る感情はオリジナルが見えなくなっても消えない。 暗いばかりの闇は、けれど、そのうち俺に不安を与える。 必要だと言った。 その言葉が俺に喜びを与える。 上を見ると光がさしてきた。 俺はその光を目指すように上に浮き上がる。 オリジナルの視界が見える。 俺は薬を飲んで倒れて、病院に運ばれたらしい。 父親がいて、医者がいる。 医者は父親を外に出して話しかけてくる。 「胃洗浄をしました。君の胃袋は今は空っぽです。少し薬の副作用で体のだるさや動悸や目眩もあるかもしれませんが、自業自得だと思いなさい。 それで君は自殺をしようとしたのか?精神患者に飲ませるような薬を大量摂取すればどうなるのか、君はわかっているか?」 「スミマセン…」 オリジナルは自分がしたわけでもないくせに、医者に謝る。 医者は自殺なんてしようとしないこと、すぐに退院できることを伝えて病室を出ていく。 『……体が重いよ。君のせいだ』 なんて愚痴をくれる。 おまえが逃げるから悪い。 『…そうだね。君が今はまだ逃げていたいことを忘れていた。沙良を…完治させてあげないとね』 …壊れたものは治らない。 『大丈夫。沙良はね、優しくして欲しいだけなんだよ』
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