【Tow you,One me 2nd】

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優しくして欲しい…。 どこかではわかっている。 それでも俺は沙良を持て余す。 以前の沙良を知っているから。 俺が壊してしまったんだと思うから。 …どんな理由をつけてみたって、結局は俺にはもう沙良を大切にできる自信もない。 俺の目の前で沙良は殴られた。 腹に子供ができたって言ってんのに、腹を蹴られまくった。 あんなのは親じゃないと思った。 沙良がどれだけその両親が好きだったか知っていた。 俺が沙良を殴る父親を止めようとして、母親のほうが俺を止めた。 母親は父親を止めることもなくて。 沙良は子供を流した。 いろんなこと考えた。 俺が沙良に手を出さなければ、ちゃんと避妊していれば。 沙良が俺を誘わなければ、沙良が親に言うというのを止めていれば。 親が受け入れていれば、何も殴ることをしなくてもよかったんじゃないかと思ったり。 自分を責めて、他人を責めていた。 死にたかった。 全部、終わるような気がして。 何も考えなくてすむような気がして。 オリジナルの毎日が繰り返される。 大学へ通う日々。 芙由にあれだけ会いたいと言われていたのを知っているくせに、俺の顔を装っているのか、芙由に声をかけることもない。 帰りは沙良の家にいく。 幼児のような沙良の遊び相手になって、飯は食べずに帰る。 父子家庭。 父親と息子という男しかいない家。 父親は食べて帰ってくるし、俺はずっとファーストフードやコンビニ弁当や惣菜暮らしだった。 施設から戻ってずっと。 オリジナルも飯を作ることもなく、出前を頼んだり、ファミレスにいく。 たまに寿司食いにいったり、高いレストランにもいく。 俺より豪勢な食事をとりやがる。 ちょっとムカつく。 少しは遠慮してやれと言いたくなる。 俺にはダイレクトにオリジナルが何を考えて行動しているのか、考えていることが伝わってくる。 『中原…、何してるかな。もう寝てるかな』 なんていう芙由のこと。 なんでもない、何もない寝る前の時間。 気になるなら芙由の部屋への道は知ってるだろうし、行けばいいのに行かない。 行かないどころか学校で声もかけない。
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