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「…スズ?」
俺の声に反応して、芙由は布団を体に巻いたまま近寄ってくる。
俺は芙由のそばに寄って、その顔を認識する。
それでも出てこない。
あの弱虫。
「……涼宮先輩?」
芙由は俺とオリジナルの何が違うというのか、俺の顔を見ると怪訝な顔を見せる。
こんなのでも俺になついていた期間はある。
その可愛くなさすぎる顔はやめろと言いたい。
「中原、僕だよ。…彼に中原に会う方法を教えてもらったんだ」
なんて俺は自分でも完璧だと思えるオリジナルを真似て。
それでもあいつは出てこない。
「……ない。嘘つき。涼宮先輩、何してるの?」
芙由は簡単に騙されてくれなかった。
沙良は簡単に騙されてくれたっていうのに。
俺と芙由より、オリジナルと芙由のつきあいは短い。
その短いつきあいで、何がわかるというのか。
「中原、信じてよ。…君に会いたくて、どうしようもなくてきたんだ。…中原」
俺は芙由にキスをしようとして、芙由は俺から逃げようとする。
まったく信じない。
少しムカついて、芙由の頭を掴まえて、髪を引っ張って上を向かせて、無理矢理キスしてやった。
おまえに俺の何がわかると言いたい。
芙由の手は俺を突き放そうとしてくれて、俺は更にイラついて、芙由をベッドに押し倒してやる。
俺に惚れていたこともあって、オリジナルに惚れてるのに、そう嫌がるんじゃねぇと言ってしまいたい。
「い……っ!」
嫌とでも悲鳴みたいな声をあげようとしてくれて、俺は芙由の口を手のひらで覆い、体を押さえつけて抵抗してくる手を縛れるものを目で探す。
なくて。
芙由のパジャマの袖でその腕を縛ってやる。
これでやり放題だ。
さぁ出てきやがれ、オリジナル。
なんて声をかけても、これも見えていないのか浮いてくる気配もない。
首を絞めてみてやってもいいけど、あれは俺の正気でもない。
興味はないが、このまま俺がヤろうとすれば浮いてくるかと思って、芙由を犯してやろうとした。
俺の手の中で芙由は何かを叫んでいる。
俺は芙由の下を全部脱がせて、蹴ろうとしてくる足を掴む。
…沙良と同じになってしまえばいい。
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