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「俺の意識飛ばせばいいんだよ」
言ってやると、芙由は下着だけはいた姿で本棚の中のでかい本を手にした。
「…おまえ、本気で俺を殴るつもりか?」
「スズ出してくれたらしない」
本気らしい。
俺を痛めつけたら、あいつも同じだとわかっているくせに。
やっぱり犯してしまおう。
中に出して傷つけてしまおう。
オリジナルもなんだってこんな女に惚れたのか謎だ。
そこを考えると、芙由はオリジナルの前では何か違う女だったような気がする。
俺にはクソ可愛くないが、少しは可愛げがあった。
こんな顔で向き合ってはいなかった。
「ペチャパイ、とりあえず座れ」
言っただけなのに、芙由は手にした本を俺に両手で振り下ろしてくる。
俺は芙由のその腕を掴んで止めて、本を奪って遠くに投げ捨てる。
「叩かせてよっ!涼宮先輩が殺してもいいって言ったじゃないっ!このエロ魔神っ!人の胸、勝手にさわりまくっておいて、ペチャパイってなによっ!」
ということが、俺を叩こうとした理由らしい。
「エロ声あげてくれれば、こっちもその気になれるっつぅのに、感じた顔も見せずにぎゃあぎゃあ喚いてばかりのおまえなんかに、なんであいつが墜ちたのか謎だっ」
「涼宮先輩にされたって、演技でも気持ちよくなんてなってやらないっ!
……だからスズ出して。ねぇ、出して。スズ、ここに連れてきてくれただけでしょ?涼宮先輩には沙良先輩がいるもんね?」
芙由は少し落ち着いて、俺に頼む姿勢を見せてくる。
「おまえは俺とあいつをくっきり区切りすぎだろっ。ついでに、おまえ、あいつに捨てられたんだよ。あいつはいきなり、引きこもりやがった。全部俺に任せて逃げやがった」
俺は愚痴るように言ってやる。
芙由が呼べば出てくると思った。
犯そうとすれば出てくると思った。
出てこない。
消えたかのように、その人格を感じられない。
逃げんな。
おまえとして、おまえを生きろ。
俺はそれが言いたいだけだ。
ここに、おまえが惚れた女もいるだろと。
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