【Tow you,One me 2nd】

5/27
前へ
/27ページ
次へ
「俺の意識飛ばせばいいんだよ」 言ってやると、芙由は下着だけはいた姿で本棚の中のでかい本を手にした。 「…おまえ、本気で俺を殴るつもりか?」 「スズ出してくれたらしない」 本気らしい。 俺を痛めつけたら、あいつも同じだとわかっているくせに。 やっぱり犯してしまおう。 中に出して傷つけてしまおう。 オリジナルもなんだってこんな女に惚れたのか謎だ。 そこを考えると、芙由はオリジナルの前では何か違う女だったような気がする。 俺にはクソ可愛くないが、少しは可愛げがあった。 こんな顔で向き合ってはいなかった。 「ペチャパイ、とりあえず座れ」 言っただけなのに、芙由は手にした本を俺に両手で振り下ろしてくる。 俺は芙由のその腕を掴んで止めて、本を奪って遠くに投げ捨てる。 「叩かせてよっ!涼宮先輩が殺してもいいって言ったじゃないっ!このエロ魔神っ!人の胸、勝手にさわりまくっておいて、ペチャパイってなによっ!」 ということが、俺を叩こうとした理由らしい。 「エロ声あげてくれれば、こっちもその気になれるっつぅのに、感じた顔も見せずにぎゃあぎゃあ喚いてばかりのおまえなんかに、なんであいつが墜ちたのか謎だっ」 「涼宮先輩にされたって、演技でも気持ちよくなんてなってやらないっ! ……だからスズ出して。ねぇ、出して。スズ、ここに連れてきてくれただけでしょ?涼宮先輩には沙良先輩がいるもんね?」 芙由は少し落ち着いて、俺に頼む姿勢を見せてくる。 「おまえは俺とあいつをくっきり区切りすぎだろっ。ついでに、おまえ、あいつに捨てられたんだよ。あいつはいきなり、引きこもりやがった。全部俺に任せて逃げやがった」 俺は愚痴るように言ってやる。 芙由が呼べば出てくると思った。 犯そうとすれば出てくると思った。 出てこない。 消えたかのように、その人格を感じられない。 逃げんな。 おまえとして、おまえを生きろ。 俺はそれが言いたいだけだ。 ここに、おまえが惚れた女もいるだろと。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加