【Tow you,One me 2nd】

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芙由は俺をじっと見てくる。 俺は嘘じゃないと見せるために目を逸らさない。 「……スズ、出して。あたし、さよならも聞いてないよっ。涼宮先輩、気絶してっ」 「痛いのいや。……おまえが俺に殺されてみるか?少しでも俺の中に浮いてきたら、表に出る人格、ひっつかまえて交代してやるよ」 俺は芙由の首に手をかける。 芙由は抗うことなく受け入れて、俺をじっと見てくる。 俺の中のオリジナルを見ようとしている。 「……先輩、スズ、いなくなるの?…先輩とスズは一緒にはいられないの? スズはあたしのことを好きになってくれた。スズという人として…。だからあたし…、許されるかなって…思ったのに」 芙由は泣き出しそうな顔を見せて、俺の中にいるはずのオリジナルに聞かせるかのように言う。 「あいつにおまえのこと言ってやったら、おまえなら大丈夫だって言いやがった。おまえなら大丈夫。さよならとありがとうとごめん。そればっかり」 それを言ってやると、芙由はぼろぼろ泣き出して、芙由の首に手をかけたままの俺の手にその雫が落ちる。 オリジナルに聞こえろと、俺は芙由だけをまっすぐに見る。 「……会わせなきゃよかった…。スズを…沙良先輩に会わせなきゃよかった…。 スズ、……スズっ」 芙由はぼろぼろ泣いたまま、俺の中に呼びかけてくる。 俺の腕を掴んで、俺の中のオリジナルを求めるように俺を見つめる。 それでもその意識は浮いてこない。 本当に消えたのだろうか? あいつはだけど、願っていた。 「スズ…。あたし、大丈夫なんかじゃないよ。…大学受かったじゃない。一緒に通おうって言ったじゃない」 涙を流しまくる芙由の目はあまりにも俺を見ていなくて、俺は目を伏せる。 芙由は俺の膝に乗りかかるようにして座り、俺の頬に両手を当てる。 「置いていかないで、スズ。あたし、ここにいるよ。キスしていいよ。ねぇ、スズ、答えて」 俺の顔に芙由の涙が降ってくる。 俺は意識を引きこもらせようとしてみる。 それでも出てこない。 芙由は俺をオリジナルのかわりのように抱きしめる。 強く抱きしめてくる。 苦しい。 耳にはひたすら、芙由の泣き声とスズと呼ぶ声。
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