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初めまして、神です。
時刻は夜の七時をまわったばかりだった。つい先ほど降り出した雨に打たれながら、岬 奏汰(みさき そうた)は濡れた路面の上で何もすることができずに佇んでいた。
(いったい……何がどうなっているんだ)
深呼吸をして、心を落ち着かせる。こんなことをしている場合ではないのだが、奏汰は冷静になって身の回りの情報を整理した。
まず、ガードレールに衝突しているグリーンのバイク。これは奏汰の愛車、ZRX。今年の秋に購入したばかりのものだが、見事にひしゃげていた。オイルも漏れている。そして道路のど真ん中に横たわっている銀髪の少女。出血はないようだが、ぴくりとも動かない。
「俺が……轢いたのか?」
もし、ここで見知らぬ人が今の状況を目撃したとすると、間違いなく人身事故で警察に通報をするだろう。バイクが少女を轢いた、と。しかし、違う。そうではない。この少女は空から降ってきたのだ。
コンビニから帰る途中だった。が空から降ってきた。ハンドルを傾けながらフルブレーキング。ハンドルがロックしたバイクは、奏汰を乗せたままガードレールに衝突した。そして、今に至る。
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