34人が本棚に入れています
本棚に追加
---------------
しばらくして、辺りで立っている者は自分と、えらく無鉄砲な学徒兵だけになった。
もう大丈夫だと思いその場を離れようとすると、威勢のいい声が飛んできた。
「おい!俺は助けてくれなんて言ってないぞ」
さっきまで息を切らせて辛そうに戦っていたように見えたが、どこにそんな元気が残っていたんだろうか。
その強がる様子によーく覚えがあって、思わずフッと笑ってしまった。
「なに笑ってんだ」
「いや、悪かった。・・・私もあなたを助けた覚えはない」
「はあ?」
「たまたま、戦場が被っただけだよ」
「・・・は?」
馬鹿にしてんのか?とでも言いたげな顔を見て、もう余計なことは言わないほうがいいなと思い、さっさと立ち去ることにした。
(・・・それにしてもアレ、弟にそっくりだったなあ)
最初のコメントを投稿しよう!