149人が本棚に入れています
本棚に追加
「梢から聞いてると思うけど、俺達、幼馴染みはさ、ちょっと普通の幼馴染みとは、違うんだ。
普通の幼馴染みって、幼稚園や保育所から、なかよくしてるとか、俺と夏樹みたいに、近所に住んでいてさ、小学校から、腐れ縁な友達のことを、言うんだよな。
でも、俺達の繋がりって、俺の両親を、真ん中にして、いろんな縁で結ばれた人達で出来た、円の中にあるんだ。
俺達も、まあ似たようなもんでさ、俺を真ん中にして出来た、人の輪なんだよな。
だから俺は、みんなのお兄ちゃんなわけ。
春先にさ、梢に会ったときに、なんだか、様子が、おかしかったんだよな…で、彩華に聞いたら、恋の悩みだから、そっとしといてやれっていうしさ。
兄貴としては、心配だったんだよ。
しばらくして、結婚が決まったって聞いて、本当に、ホッとしたんだ。
なあ、篤志君、梢はさ、すごく頑張りやさんだから、一気に、走っちゃうんだ。
だから、休息する場所を、作ってやってよ。君のその腕の中にさ。」
「わかりました。」
答えた言葉は、短かったけれど、真っ直ぐ見る篤志の目は、ものすごく真剣で、力があった。
光輝は、こいつなら、任せられるなって、心から思って、安堵した。
「じゃあ、梢のこと、頼むね。」
ニコッと笑う光輝は、いつもの爽やかな笑顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!