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「…家の子の主張通りですよ、先生。
首に、掛けてるのは、確かに、ドックタグですけど、この子のお守りとして、俺が、着けさせてるんです。」
「こんな、金属製のチェーンを、首に、着けていたら、アクセサリーとして、注意するのは、当たり前でしょう。
ましてや、体育の時間は、危険が予見されます。例え、ご主張通りでも、許せませんな。」
「はあ…それは、そうなんですが、お守りですから、外せとは、そう簡単に、言えませんよ。
でも、先生の言うことも、一理ありますよね。アクセサリーだと取られても、仕方ないですよね…。
わかりました。金属製のチェーンは、外して、目立たないように、布か皮の紐にさせます。
それで、どうでしょうか?…ダメですかねぇ?」
早苗は、気難しそうな桐山を、上手く煙に巻いていく洋祐に、笑いをこらえている。
かなり長い時間、ああだこうだ桐山は、言っていたが、最終的に、洋祐の提案で、手を打ってくれた。
「…梢。あの先生、怒りすぎて、そのうち禿げるぞ。」
洋祐は、梢に、そう耳打ちしたあと、こう言った。
「…帰りに、そのチェーンの代わりを、買いに行こうな。…うん、本革がいいな。」
次の日から、私は、銀の板を、そっと、隠すように、着けることになった。
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