第3章 ドウメキと妖精

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玄成が優勢と思っていた勝負は意外といい勝負をしていた。 しかし、よく考えてみると当然で『電磁妖精』を作ったのは玄成かもしれない。 でも、それを動かす霊力は元々はレイラさんのもの。 いくら慣れようとしても自分本来の持ち物ではないものは少し扱い辛いのだろう。 「ダーリン。動きに無駄が多いですわよ。霊力はもっと効率的に使わないといけないですわ」 レイラさんの使う『三葉電磁妖精(トラフルグレムリン)』をベースに足技で玄成との距離を離しながら戦っていた。 ということはレイラさんの分類は武士という事になる。 接近戦は玄成も苦手な訳ではないのだが苦戦を強いられている。 そこで僕は気がついた。 玄成の動きが完全にレイラさんに読まれている。 しかし、苦戦した表情を玄成はしていない。 ということは玄成はまだ、そこを見せていない。 まあ、僕も玄成のそこを見たことがないので分からないのだが。 振り上げた玄成の天秤がレイラさんの左足を受け止める。 キンという甲高い金属同士の接触音。 そのタイミングで玄成を中心に半径二メートルほどのクレーターが生まれる。 少し苦しげな表情を浮かべる玄成。 僕はここで『三葉電磁妖精』の効果が薄々理解してきた。 この左足が触れている対象の物、もしくは人に衝撃波を与えるようなのだ。 だから、鬼の僕でも気絶をしてしまった。
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