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何か人間離れした気品というかオーラを感じさせる。「それで、山下さんの質問と言うのは何でしょう。」山下は残りの麦茶を飲み干した。「その前に、我々は今日何の取材で来た事にすれば良いでしょうか。」彩世は少し笑みを浮かべ、「この近くに温泉があります。特に見晴らしの良い露天風呂が評判ですので、その取材に来たという事にしておいてください。」「周辺に住む人たちの評判も聞きに来たとでもいってい
スだければ申し分ありません。」彩世は由美子の携帯電話を見ながら、「アシスタントの方は写真を撮るジェスチャーをしていただけませんか。」用意周到なのには驚いた。山下はてきぱきと指示を出す彩世に暫く感心していたが、さっそく次の質問を始めた。「彩世さん何故私に仕事を依頼したのですか?」
「山下さんならきっと妹を探しだしてくれそうな気がしたからです。」
答えになっていてなっていない彩世の答えに首をかしげていたが、
「手掛かりは妹さんと双子だった事、生まれた病院それ以外ありませんか?」
「ありません。」淡々ときっぱり答えた。
「貴方と妹さんが出生した病院は10年も前に閉鎖されて廃虚になっています。病院の院長並び関係者を当たっているのですが。院長とその家族は謎の死を遂げていました。」
「そうですか…・。」
なにかこう割り切って返事をされると次の言葉が出てこない。その上何か試されているような気持ちさえ生じてきた。暫くあれこれ考えたが結局次の言葉が出てこなかった。
「他に質問が無いようでしたら外の方へどうぞ。」
彩世のその言葉を最後に3人は境内に出てきた。午後5:30外は十分に明るかった。
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