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「そうだ!ねぇねぇ今度さみんなで旅行いこうよ!!」一番前を歩いていた愛美が突然振り向いて満面の笑みで提案してきた。旅行かーだるいな…ボソッと口に出したのが聞こえたらしく愛美がしかめっ面で睨んでくる。みんな行かないだろうと思ったら一番そういうのを嫌がりそうな心が、いいよ。と言っていしまったのでしぶしぶ行くことになった。ちょうど今週末が全員の休みがかぶっていたのでそこで1泊することになった。場所は色々案がでたが海に決定した。いや、決定された。ちょっと海に行くのは時期的に早いのではないかと思ったのだが愛美がすごく目をきらきらさせていたので海という選択以外が儚くも消え散った。問題は今週行くのに急に宿をとれるのかという問題だったのだが、そんな問題は一瞬で解決された。心の家がお金持ちで心の親父さんは会社は忘れたけど社長さんなのだ。心が親父さんに電話で旅行の話をしてから10分後海の目の前に建っているいかにも高級らしい名前のホテルが確保された。すげーと思いつつもあのホテルは親父さんにいったいどんな脅しをされたのか…これ以上は恐ろしいので考えるのをやめた。
旅行前日の夜。目覚ましをかけベットに入り目を閉じた。
心地良い風が肌に触れた。風にほのかな潮の香りが混じっていて耳にはザザーと落ち着く音が入ってくる。ゆっくりと目を開け目の前の光景に苦笑した。まさか明日海に行くからといって夢で先に海に来ちまうとは俺もまだまだ子供のようだ。そんなこと思いながら砂浜で座っていると微かな声が聞こえてきた
「…ン……シン…」
俺はあたりをみまわした。だが誰もいない。空耳だろうと思っていると
「シン…聞こえますか?」
今度ははっきりと聞こえた。
「だれだ…どこにいるんだ」
左右を確認したがやはり誰もいないので空に少し大きい声できいた。
「ごめんなさい。今は何も言えないけれど…諦めないで…これから起こる事に屈しないで」
今にも消えそうな声だ。
「え?どういうことなんだ!?」
俺は夢だということを忘れて反射的に聞いてしまった。だが返事はない。もう聞こえてくるのは波がうつ音だけ。さっきの声は…いったい…
バコンッ!突然の出来事に目が覚めた、痛みが全身を駆け巡る。何が起きたのか理解できなかったが目の前に心が仁王立ちしているのを見て全てを察した…
「えーっと…おはよう心」とりあえず言ってみた。
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