第12話

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《模索》 そのころ、輪島はミーティングの席にいた。9人の女子高校生自殺の事件よりももっと深刻な問題が持ち上がった為権田課長を中心に会議が進められていた。大阪市内の行方不明者がここ数週間の内に30名程の数になっている。半端な人数では無いため同じ犯人の可能性も十分にあるとして本格的捜査に至った。それら行方不明者は皆サイトを見ていたらしいという情報も入っていた。行方不明者の見ていたサイトの調査を行う割振り分担が決められていた。サイトを見たと言う点では今まで進められてきた女子高生の自殺事件と共通している。(有)ランスロットの状況と同じではと推測されたあました。輪島の携帯に山下からのメールが届いた。休憩中にメール内容を確認すると。 「妹探しの依頼主と面会、妹はなんと依頼主とくっついて生まれて来た双子だった。妹がもし存在すれば下半身は無い可能性大。」 衝撃的なメールに背筋が寒くなる思いをした。 その夜、輪島は山下、由美子の三人で会合した。勿論熊野神社での出来事の報告会がメインとなっていた。ちょっとオシャレな梅田地下のビアバーで会合した。大きな体にはビールジョッキも小さく見える。輪島は乾杯の後一気にジョッキの3分の2を飲んだ。 「いやあーーーお疲れやったね。」 と2人の労をねぎらった。しかし、早く話しが聞きたいのだろう。言葉には出さないが全身から 「早く、早く。」と急かすような気が発せられていた。 「メールご覧になられました。」 「は、はい勿論。まさか、まさかやったでしょう。」 自分の直感がまぐれにもあたったせいか、輪島は少しはしゃぎ気味だった。 「輪島さん人事みたいに思っているでしょうが、こちらは恐怖の渦に巻き込まれたんですよ。」 「す、すいません。でも今回の依頼者の要望と事件の解明が同じ線上にあるかもしれへんという事になってきたんですね。」 山下の捜査の協力を得られる事は輪島にとって非常にラッキーな事だった。しかし、山下の隣で「むっ。」としてビールを飲んでいる由美子が今度は口を開いた。
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