第13話

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《SATO》 「そうですよね。人間やないとしたら高度な人工知能やろうな。」 輪島のその言葉で山下の記憶回路が反応し始めた。 「ちょっとまってよ、今人工知能って言ったけど、それで思い出した。大学時代に人工知能の研究を熱心に取り組んでいた教授がいて、ゼミの時人工知能について良く語ってました。」 すると由美子も 「そうそう、そんな教授が一人いたわね名前が相沢て言ったと思うけど、講義がとても面白かったわ。」「相沢教授の人工知能論は乾式の回路では完全な人工知能は無理だと言ってました。例えば将棋の対戦ができる人工知能を作るとしたら過去の経験をなるべく多く憶えさせておいてその中でもっとも有利な手を選択するようにプログラムするのがオーソドックスな考え方で、感情を持たせたり創造力・空想力まで備える事は不可能とされていたんだけど、相沢教授は水は無機物の中で最も生物的でだといい、美しい曲の流れる所や環境の良い所では凍らせた時の結晶が異なるという事実に注目をしていて、人間の脳はコンピューターが及ぶ事の出来ない回路であると同時に殆どが水で構成されているから創造力、空想力が備わっているのだと言ってました。」 「相沢教授は人工知能を開発する為に昆虫、魚類、犬、猫に至るまで脳の研究を行う為に実験に使っていたし、そこから人工知能のアイデア実現の為に尽力していました。」 更に由美子が付け加えた 「相沢教授は博学で電子工学、情報処理工学、生物学、医学に精通していて、人工心臓等の人間の臓器に関するもの、高機能な偽足偽手の開発、盲目の人の視神経をカメラで繋ぎある程度外の様子を認識させるようにしたり、イモリ等の体の再生能力を人間にも応用させたり天才的才能を持った人でしたね。情報処理にしてもいち早くカオス理論を取り入れコンピュータに作曲機能を持たせたり、効率の良い検索システムを考えたりしていました。それ程の才能の持ち主だけに湿式の人工知能の開発で世間が絶対不可能と言っている人工知能を是が非でも開発しようとしていたようね。出来るものなら人間の脳で実験、研究を行いたいとまで言っていました。創造力は人間にしか備わっていない能力故に生きている人間の脳を実験材料に出来ればと良く言ってました。」
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