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「智恵、お母さんじゃないけど、これからもよろしくね?」
改まって感謝を伝えるのは結構恥ずかしい。
智恵と並んで歩いていたところから一歩前に出て軽く頭を下げる。
「急にどうしたー?頭でも打ったの?」
にやつきながら自分の手を私の頭の上に置く。
冗談混じりにふくれっ面になる。
「あーひっど!せっかく人が感謝の気持ちを体現してるってのに!!」
「ごめんごめん!こちらこそ、よろしくね!相棒!」
「相棒っていうより相方やろ?」
突然後ろから聞きなれた声がしてきた。
「ひーちゃん!」 「響!」
私と智恵の友達―和田 響-通称 ひーちゃん(私がそう呼んでるだけだけど)
中学二年の頃、大阪から転校してきたひーちゃんは、私のクラスに転校してきて
智恵と違うクラスだった私はクラス行動をひーちゃんと共にしていた。
転校したての頃は誰とも話さずに窓辺を見ている一匹狼のクールな女の子やった。でも、そんなひーちゃんに興味がわいて話すうちにだんだん仲良くなって。
それで三年でひーちゃんと智恵と同じクラスになり、今の関係に至る。
「おはよう、宮田さん、伊織!伊織~またちーそーなったな~」
ニコニコ笑顔で私の首に自分の腕を巻きつけ髪をワシャワシャしてくる。
ちなみにひーちゃんは智恵のことを名字呼びしてる。
私の名前以外で下の名前を呼んでいる人はいないようだった。
「もーひーちゃん!髪の毛ぐちゃぐちゃになったじゃん!!」
頭に置いてある手をどけて髪を整える。
と言ってもポニーテールはあまり乱れていないから前髪を手ぐしするだけだが。
「わるいわるい!伊織の頭がちょうどええ位置にあったさかいな!」
「伊織の口癖は相変わらずよね。『もー』って。」
二人ともクスクス笑いながら私を見る。
「ふんっだ!二人の口癖も絶対見つけてやるんだから!」
そう言いながらも三人でわらいながら
今から楽しみを分かち合うための門―もとい高校の校門へとくぐる足を進めた。
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