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そして、待ちに待った海に行く日。朝から頑張って10人分のお弁当を作った。……結構多いかも。
「おい、秋……それ、持てるのか?」
「……ぁっ!………てへぺろ?」
「はぁー……無計画でやるなよ…ほら、貸せ。忘れ物が無いか確認したか?」
「ありがとう。荷物は昨日の夜準備して、さっきも確かめたよ。」
「よし。なら行くぞ。」
ジョーカーは私が持ち上げるのに苦労する重さの防水、防塵のバスケットを軽々と持ち上げて、ビーチサンダルに足を突っ込んだ。春も私たちの後ろにいて、シキくんを連れてる。
「今日はバスと電車を乗り継ぐのよね?」
「そうだよ?だから、お財布忘れないでね?」
「バッチリだから大丈夫。ほらシキ、ちゃんとパラソル持ってね。」
「はい!あ、そういえば俺、水着って持ってないんですけど…」
「アホじゃない?この前私が買い物に行った時に言えば買ってあげたのに。………そんな顔しても、もう買わないわよ。」
「ハルさーん……」
どうやら、シキくんは今日泳げないみたいだ。ジョーカーは元から泳ぐ気ないみたいで、ゴーグルじゃなくてかっこいいサングラスを買ってたけど……陽の光に弱い訳ではないから、お店の人に言われて買ったのかも。今も、私のカバンの中に適当に突っ込まれてるし。
「あ、アキ、おはよー!」
「おはよう。みんな!」
「ハルさん、おはようございます。」
「おはよう。今日はたくさん遊ぼうねー!」
シェーラさん達と王子と赤髪の男の子、私が名前を知らない女の子が2人。その後ろにはなぜか中型のバスが。
「これは……?」
「ハル、すみません……父に話したら、えらく張り切ってしまって、"勇者を公共の乗り物に乗せる訳にはいかない!"と用意してしまったんです。」
って王子。あのブタが用意したみたい。まぁ………交通費が浮くからいいか。
「わー!流石に10人も一度に行ったら迷惑かなっとか思ってたんだよね。交通費も浮くし、ラッキーだったー!みんな、早く乗ろ!」
春が乗っていくとその後をみんなでついていった。全員乗り込むと、滑らかな動きでバスが動き出した。
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