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 無事に完全復活を遂げた類は、二日ぶりに店に出勤していた。沙和子と二人でカウンターの中に入り、いつものように開店準備をしていると、茶封筒を手に持ったカヨが二人の目の前に立った。 「類くん、ごめーん!あの日雨に濡れたせいだよね?それか翔琉の風邪がうつったんだよね?」 カヨは申し訳なさそうに頭を下げた。 「大丈夫だから。カヨさん出てるってことは翔琉の方も元気になったんだよね?」 「・・・うん、お陰様で。あ、これ」 カヨは類に持っていた封筒を渡す。 「昨日病院行って、保険証とか色々出して精算してきたの。本当に何から何までありがとう」 類は封筒を受け取ると、少し心配そうにカヨを見た。 「カヨさんは?大丈夫?・・・その、田中さんの事とか」 それに関しては沙和子も心配していたので、カヨの様子を窺っている。 カヨは心配そうに自分を見る二人に向かって、ニカッと笑って見せた。 「あーもういいの!あんな男なんてこっちから願い下げ!謝ってきても無視してやるわ」 そう言った後、少し小さな声で「二人のおかげ」と、照れ臭そうに笑った。 「私の、素敵な旦那探しの旅は終わらないけどさ」 そう言っていたずらっ子みたいな顔を見せるカヨは何だか可愛らしかった。 「カヨさんならいい人見つかると思うよ。歳のわりに可愛いし」 カヨは「歳のわりには、余計ですー」と言っていたが、嬉しそうだ。 「あたし、昼の仕事探そうと思って。ちょっとつてもあるからさ、明後日そこに面接行くんだ」 俯いて自分の親指の爪を弾く。 「まあ、受かるかわかんないし、昼の仕事だけじゃ苦しいから夜は週2か3で続けようかと思ってるんだけどね」 沙和子も、深夜一人で留守番をする翔琉の事が気になっていたので、カヨの決心が嬉しかった。 「・・・で、なんだけど」 カヨは沙和子の方に身を乗り出した。 「さわちゃん、私の代わりだったから、本当なら私が復帰した時点でお役後免だったんだけど・・・もう少しやってもらえないかな!?」 カヨは沙和子を拝むように手を合わせた。 「・・・カヨさん、それは」 類が間に入ろうとすると、沙和子は笑って「いいですよ」と言った。 翔琉のために何か出来るなら、力になってあげたかった。 出来ることなら、夜はカヨと一緒に眠りについて欲しい。
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