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お昼前、営業員さん達はそれぞれ担当の会社へと散っていく。
賑やかだった営業所が静かになる、ほんの一時。
私は一人お昼休みをとる。
喫煙所から続く非常階段に出て、外の空気を吸うと夏の匂いがした。
梅雨の合間の太陽は眩しく、緑が萌えて目が痛い程だ。
「何かいいことないかな」
口癖になってしまったこの言葉。何かを待ち望んでいるわけではない。
期待もしていない。
それでも口をついて
出てくるのは、無意識に「何か」を
待っていると?
自分に問い掛けてみた。
答えは、
「イエス…かな」
「何が?」
何がって…
え?
振り向くと、
河合 りくが立っていた。
煙草を取り出しながら、
くっと笑う。
(確かにこの笑顔は反則だわ)
太田さんの言葉がよみがえる。
東の空遠く、雷が鳴っていた。一雨来そうな気配。
待っていた「何か」も来そうな気配。
久しぶりに仕掛けてみようか。
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