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「チェスの駒、羽、コーヒー」
冷たい地下牢で、その試験は行われた。
「ポーン!」
少年の一人が叫びチェスの駒を投げる、その駒はだんだんと姿をなし、黒の人間が姿を現す。少年と同じような格好をしているが昔の中世の姿、格好をしている。
「ポーン」
相対するは女の子。彼女もまた駒を空中へと投げ出す。彼女の分身が現る。しかしその姿は白い。黒の騎士と剣を交える。しかし、黒の騎士の剣が乱れる。
「まあ、これが常套手段か」
長いマントを羽織っている、試験官の男。男は少年に向かって叫んだ。
「ラルク!剣をきちんと想像しろ!乱れてるぞ!そのままだとニーナの兵にやられるぞ!」
「うっせえ!わかってんよ!」
ラルクと呼ばれた少年は試験官にそう叫ぶと、目を閉じて集中する。すると掻き消えそうになっていた剣が再びその銀色の尖った美しい姿を取り戻す。
「ふむ、及第点だな」
試験官の男は白い椅子に腰掛けた。そしてそのそばにいた秘書らしき背の高い女性がコーヒーを差し出さす。
「入学試験にしてはなかなか甘いですね、ハインドット」
「なあに、それはお前もだろうカミーナ。わざわざ妹の入学試験に来てるんだから」
ハインドットと呼ばれた男はカミーナが差し出したコーヒーを口に含み、一言安心しきったかのように言った。
「ふむ、これは合格点以上だ」
「ありがとうございます」
カミーナの笑みは当たり前だと言いたげだ。
目の前の戦闘に変化が生じた。
「ナイト!」
ラルクはそう叫び空中に馬の形をした駒を投げ出す。その駒もまた姿を変え、馬に乗った騎士へと変化する。
「ルーク」
ニーナはそう言い、駒を投げ出す。その姿は大きな盾を持った女性に変化する。剣と盾がぶつかり合い、先ほどまで戦っていたポーンがその衝撃により生み出された風圧により二つとも吹き飛ばされた。
二つは駒へと戻り、ひび割れて壊れる。
「くそ!ビショップ!」
少年は半ばやけくそのように水の形をした駒を投げた。
その駒は姿を変え、二刀流の騎士に変化。素早くルークの後ろに回り込みルークを切り刻んだ。
「やった!」
ラルクは笑って喜ぶ。
「勝負あったな」
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